静かな池。
水面に浮かぶ無数の甲羅。
その中で、赤い“印”を持つ者を見たことはないだろうか。ヤツらは太陽を浴び、無言でこちらを見つめる。
だがその裏で、小魚を喰らい、水辺の生態系を侵食し続けている――。かつて「ミドリガメ」の名で愛された小さな命。
しかし成長したその姿は、自然界へ放たれた“外来の覇者”だった。今回は、日本全国で問題となっている「ミシシッピアカミミガメ」の生態と危険性を、真面目に解説していこう。
ミシシッピアカミミガメとは?

ミシシッピアカミミガメは、北アメリカ原産の淡水性カメです。
正式名称は「ミシシッピアカミミガメ」ですが、日本では「ミドリガメ」という名前で広く知られています。
幼体は鮮やかな緑色をしており、ペットとして大量に輸入されました。
しかし成長するとかなり大型化し、飼いきれなくなった個体が野外へ放され、日本各地で定着してしまいました。
現在では代表的な外来生物として知られています。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | ミシシッピアカミミガメ |
| 英名 | Red-eared Slider |
| 学名 | Trachemys scripta elegans |
| 分類 | カメ目 ヌマガメ科 |
| 最大甲長 | 20〜30cm前後 |
| 寿命 | 20〜40年ほど |
| 食性 | 雑食性 |
| 危険性 | 噛みつき注意・生態系への影響大 |
| 原産地 | 北アメリカ |
生息地と活動時期
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本での分布 | 全国各地 |
| 好む環境 | 池、川、沼、水路など |
| 活動時期 | 春〜秋 |
| 冬 | 冬眠する |
| 日光浴 | 非常によく行う |
ミシシッピアカミミガメの生態
とにかく何でも食べる

ミシシッピアカミミガメは非常に強い雑食性を持っています。
- 水草
- 昆虫
- 小魚
- 甲殻類
- 両生類
- 人工飼料
など幅広く食べるため、環境への適応力が非常に高いです。
この「何でも食べる性質」が、日本の自然環境でも生き残れた大きな理由とされています。
外来種として問題視される理由

ミシシッピアカミミガメは繁殖力が高く、日本の在来生物に影響を与えています。
特に問題となるのは、
- 在来カメとの競合
- 水草の大量摂食
- 小型生物の捕食
- 生態系バランスの変化
などです。
そのため、日本では条件付特定外来生物として扱われています。
人への危険性は?
ミシシッピアカミミガメは毒を持ちません。
ただし、噛む力は意外と強く、指を近づけると噛みつくことがあります。
特に大型個体は注意が必要です。
注意点
- 不用意に口元へ手を出さない
- 野生個体を素手で触らない
- 子供だけで扱わせない
- 噛まれたら傷口を洗浄する
また、カメ類はサルモネラ菌を保有していることもあるため、触れた後は手洗いを徹底しましょう。
飼育はできる?
飼育自体は可能ですが、長期飼育を前提に考える必要があります。
幼体時は小さくても、成長するとかなり大きくなります。

飼育環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 水槽 | 大型水槽推奨 |
| 水温 | 24〜28℃前後 |
| 陸地 | 日光浴スペース必須 |
| 紫外線 | UVBライト推奨 |
| 餌 | 人工飼料、魚、野菜など |
また、寿命が非常に長いため、「数十年飼う覚悟」が必要になります。
飼育の条件: 規制開始前(2023年6月1日以前)から飼っている場合はそのまま飼育できますが、新たに野外から捕まえて飼うことは原則禁止です。
絶対に野外へ放さない
飼育できなくなったからといって、池や川へ放すのは絶対にやめましょう。
外来生物問題は、こうした放流によって拡大してきました。
現在は自治体や専門機関で引き取り相談を行っている場合もあります。
最後まで責任を持って飼育することが大切です。
まとめ
ミシシッピアカミミガメは、かつて「かわいいミドリガメ」として人気を集めた生物でした。
しかしその裏では、
- 強い生命力
- 高い繁殖力
- 圧倒的な環境適応力
を持ち、日本の自然環境へ大きな影響を与えています。

ペットとして飼う場合は、その生態と責任をしっかり理解することが重要です。
あとがき
赤き紋章を刻まれし甲羅の戦士。
小さき水槽から始まったその物語は、やがて日本中の水辺へ広がった。
人に飼われ、人に捨てられ、それでも生き延びた外来の覇者。
その瞳は今日も、水面の向こうから静かにこちらを見ている――。
もし池で赤い耳を見つけたなら。
それは“侵略の歴史”そのものなのかもしれない。



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