夜の学校で、一本の電話が鳴る。
受話器の向こうから聞こえるのは、女の子の声だった。
自分を「メリーさん」と名乗り、いまどこにいるのかを告げる。次の電話では、さっきより近い場所にいる。そして最後には、電話の向こうではなく、聞き手のすぐ背後まで来ている。
現在では「捨てられた人形が元の持ち主へ電話をかけ、少しずつ近づいてくる怪談」として知られるメリーさんの電話。しかし記録を遡ると、いくつかの疑問が残ります。
本当に1960年代から現在と同じ話が存在したのでしょうか。実在した「リカちゃん電話」は元になったのか。そして、「捨てられた人形」という設定は最初からあったのでしょうか。
今回は、1968年に始まった実在の電話サービス、1990年代の学校怪談、1995年の映画、1999年以降の出版記録を順に確認し、「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」という怪談がどこまで遡れるのかを追います。
- 分類
- 都市伝説/学校の怪談
- 関連する実在記録
- 1968年「リカちゃん電話」正式開始
- 今回内容まで確認できた早期の公開例
- 1995年 映画『学校の怪談』
- 代表的な語り
- 「私メリーさん。今○○にいるの」
- 記録の性質
- 口承型都市伝説/電話怪談/人形怪談
- 発祥
- 未特定
- 結論|メリーさんの電話について今回確認できたこと
- メリーさんの電話とは何なのか|現在知られる基本形
- 1968年|実在した「リカちゃん電話」
- 「リカちゃん電話が元ネタ」はどこまで確認できるのか
- 1990年|「学校の怪談」ブームと、初出をめぐる注意点
- 1995年|映画『学校の怪談』には、すでに「接近するメリーさん」がいる
- 「捨てた人形」は最初から必要だったのか
- 2003年以降|「リカちゃん電話」と起源が結びつけられていく
- 時系列で見る|確認できる記録と、まだ埋まらない空白
- なぜ「メリーさん」なのか|名前の由来は確認できない
- 1995年版と現在型を比べると、何が残っているのか
- 玄徴録の考察|この怪談の核は「人形」ではなく「距離の報告」なのか
- 同じ1990年代の学校怪談と比べる
- メリーさんの電話について現在確認できること
- よくある質問
- 参考・出典
結論|メリーさんの電話について今回確認できたこと
先に、調査結果を整理します。
- 「リカちゃん電話」という実在のサービスは、タカラトミーの公式資料で1968年に正式開始したことが確認できる。
- ただし、1968年前後の同時代資料から「今あなたの後ろにいる」という怪談まで確認できたわけではない。
- 1990年に常光徹『学校の怪談』第1巻が刊行され、学校怪談ブームの基盤となる出版物が登場しているが、今回確認できる公開書誌情報だけでは「メリーさんの電話」が同巻に収録されていたとは確認できない。
- 1995年の映画『学校の怪談』では、メリーさんが電話のたびに校門、花壇、昇降口などへ接近していく場面が確認できる。
- この映画版には、現在有名な「捨てられた人形」という導入がない。それでも「メリーさん」「電話」「現在地」「接近」という構造は成立している。
- 1999年には、あかね書房から斉藤洋『メリーさんの電話』が刊行され、出版社自身が「人形のおばけ“メリーさん”」と紹介している。
- 2003年には松山ひろし『3本足のリカちゃん人形―真夜中の都市伝説』が刊行され、2012年の改題・再構成版の紹介では「リカちゃん電話」と、居場所を変えながら最後に背後へ来る怪談が結びつけられている。
- しかし、現在確認できた資料だけでは、「リカちゃん電話からメリーさんの電話が直接生まれた」と確定することはできない。
- 「メリー」という名前が選ばれた理由も、今回確認した初期資料からは特定できない。
実在するリカちゃん電話は1968年まで遡れます。一方、今回内容まで確認できた「メリーさんが電話で接近する」早期の公開例は1995年です。この約27年間を、後世の説明だけで一本の系譜としてつなぐことはできません。
メリーさんの電話とは何なのか|現在知られる基本形
現在よく語られるメリーさんの電話は、非常に短い構造を持っています。
ある少女が、以前大切にしていた人形を捨てる。その夜、人形を名乗る相手から電話がかかってくる。
最初はゴミ捨て場。次は駅や近所。さらに家の前。電話が鳴るたび、相手がこちらへ近づいていることが分かる。
そして最後の電話で、メリーさんは聞き手の背後にいることを告げる。
ただし、細部は一定ではありません。
| 要素 | よく知られる型 | 変化する部分 |
|---|---|---|
| 怪異 | メリーと呼ばれる人形 | 西洋人形、少女、正体不明の声など |
| 発端 | 持ち主が人形を捨てる | 引っ越し、古くなったため処分など |
| 最初の現在地 | ゴミ捨て場 | 駅、街角、遠い場所など |
| 接近経路 | 電話のたびに近づく | 具体的な地名・順番は語りによって異なる |
| 最後 | 背後にいると告げる | そこで終わる型、その後の出来事を追加する型がある |
この話で最も安定しているのは、細かな場所ではありません。
「名乗る」「現在地を告げる」「電話のたびに距離が縮まる」「最後に背後へ到達する」という順序です。
1968年|実在した「リカちゃん電話」
メリーさんの電話の起源を調べると、必ずと言っていいほど名前が挙がるのが「リカちゃん電話」です。
ここには、はっきり確認できる記録があります。
タカラトミーが2007年に公表した公式ニュースリリースによると、「リカちゃん電話」はリカちゃん発売翌年の1968年に正式なサービスとして始まりました。
きっかけは、一人の女の子が旧タカラ本社へ電話をかけ、「リカちゃんはいますか?」と尋ねたことだったとされています。
電話を受けた女性社員が機転を利かせ、「もしもし私リカよ」と応じた。その話が子どもたちの間に広がって同様の電話が増えたため、専用回線が設けられた――というのが、タカラトミー自身が記録している始まりです。
これは都市伝説ではなく、企業側の公式記録で確認できます。ただし、この事実だけでは「メリーさんの電話の起源だった」とまでは言えません。

※玄徴録による再現イメージです。実際の写真・証拠資料ではありません。
「リカちゃん電話が元ネタ」はどこまで確認できるのか
実在したリカちゃん電話と、メリーさんの電話には確かに似ている部分があります。
どちらも「少女向けの人形」と「電話」が結びついている。しかも、人形が声を持ち、人間と会話するという発想そのものが共通しています。
しかし、ここで一つ問題があります。
タカラトミーの1968年の記録に残るのは、子どもがリカちゃんへ電話をかけるサービスです。現在知られるメリーさんの怪談では、逆に人形の側から持ち主へ電話がかかってくる。
さらに「現在地を報告しながら近づく」「最後に背後へ現れる」という部分も、タカラトミーの公式なサービス開始記録にはありません。
後世の資料には、この二つを結びつける記述があります。
松山ひろし『3本足のリカちゃん人形―真夜中の都市伝説』は2003年に刊行され、2012年には『怖すぎる話―真夜中の都市伝説』として改題・再構成されています。国立国会図書館サーチに掲載された2012年版の紹介文では、「リカちゃん電話」と、電話のたびに居場所が変わり最後には背後へ来る怪談が並べて説明されています。
ただし、この記述は2012年に確認できる後世の整理です。
1968年前後に「リカちゃんがこちらへ近づき、最後に背後へ来る」という怪談がすでに存在したことを示す同時代の新聞、雑誌、書籍、企業資料などは、今回の調査では確認できませんでした。
つまり、1968年に実在した電話サービスと、後年の怪談の類似は確認できます。
しかし、類似していることと、直接そこから生まれたことは別です。

※公開資料をもとに玄徴録が作成した図解です。
1990年|「学校の怪談」ブームと、初出をめぐる注意点
メリーさんの電話は、1990年代の「学校の怪談」ブームと強く結びついて記憶されています。
常光徹『学校の怪談』第1巻は、国立国会図書館の書誌で1990年11月刊と確認できます。
同書の公開書誌情報には、トイレの花子さん、人面魚、人面犬、口裂け女などが挙げられています。ここから、1990年の時点ですでに学校という空間へ複数の現代怪談が集められていたことは分かります。
一方で、今回閲覧できた国立国会図書館の書誌・要約からは「メリーさんの電話」の収録を確認できませんでした。
ここは小さな違いに見えますが、発祥を追ううえでは重要です。
「1990年代に学校怪談が流行していた」という事実と、「1990年にメリーさんの電話がすでに本へ載っていた」という主張は、分けて扱う必要があります。
1995年|映画『学校の怪談』には、すでに「接近するメリーさん」がいる
記録がはっきりしてくるのが1995年です。
国立映画アーカイブには、平山秀幸監督による映画『学校の怪談』が1995年の東宝/サンダンス・カンパニー製作作品として記録されています。
そして、この映画の冒頭にメリーさんの電話が使われています。
メリーさんの声を担当した宇野あゆみ氏は、後年、自身の公式サイトで当時の場面を振り返っています。
「もしもし、私メリーさん。いま校門の前にいるの」
その後の電話では花壇や昇降口へと近づき、最後の電話の後、振り返った場所に怪異が現れるという流れだったと説明されています。
ここで注目したいのは、この映画版に「少女が人形を捨てた」という導入が存在しないことです。
電話を受けるのも、元の持ち主である少女ではありません。
それでも、話を聞いた瞬間に「メリーさんの電話」だと分かる核は残っています。
- 「メリーさん」と名乗る
- 電話で現在地を告げる
- 電話のたびに距離が縮まる
- 最後に聞き手の背後へ到達する
これは1995年が怪談そのものの発祥年だったという意味ではありません。映画で使われる時点ですでに観客が理解できる怪談として流通していた可能性を考える必要があります。

※玄徴録による再現イメージです。映画のスクリーンショットや実際の映像ではありません。
「捨てた人形」は最初から必要だったのか
現在のメリーさんを説明するとき、「捨てられた人形」という設定はほとんど欠かせません。
しかし1995年映画版を見る限り、それは怪談を成立させる絶対条件ではありません。
人形を捨てていなくても、メリーさんは電話をかけ、現在地を告げ、接近してくる。
一方、1999年2月には、あかね書房から斉藤洋『メリーさんの電話』が刊行されています。
出版社の現在の紹介では、作中に登場する存在が明確に「人形のおばけ“メリーさん”」と説明されています。
この資料だけから、現在知られる「捨てた西洋人形が元の持ち主へ戻ってくる」という筋書きの成立時期までは特定できません。
それでも、1999年には「メリーさん」と「人形」が、児童向け出版物の題材として明確に結びついていたことは確認できます。
現在型の各要素が一度に完成したのではなく、「接近する電話」と「捨てられた人形」というモチーフが、異なる語りの中で結びつきながら固定された可能性があります。
2003年以降|「リカちゃん電話」と起源が結びつけられていく
2003年12月、都市伝説を扱った松山ひろし『3本足のリカちゃん人形―真夜中の都市伝説』がイースト・プレスから刊行されています。
同書は2012年に『怖すぎる話―真夜中の都市伝説』として改題・再構成されました。
国立国会図書館サーチに掲載されている2012年版の紹介文では、「リカちゃん電話」について、電話のたびに居場所が変わり、最後に背後へ来る都市伝説として説明されています。
さらに、その説明では1960年代の日本で語られた都市伝説とされています。
ただし、この記述をそのまま「1960年代の同時代記録」と扱うことはできません。
確認しているのは2003年以降に刊行された都市伝説資料と、その後の書籍紹介です。
時系列で見る|確認できる記録と、まだ埋まらない空白
| 年 | 確認できる記録 | ここから言えること |
|---|---|---|
| 1968年 | 「リカちゃん電話」正式サービス開始 | 人形と電話で会話する実在文化は存在した |
| 1990年 | 常光徹『学校の怪談』刊行 | 学校怪談を集めた出版シリーズが始まる。ただし公開書誌だけではメリーさん収録を確認できない |
| 1995年 | 映画『学校の怪談』 | 「メリーさんが電話で現在地を告げ、接近する」型を確認できる |
| 1999年 | 斉藤洋『メリーさんの電話』 | 「人形のおばけ“メリーさん”」が児童書で明確に扱われる |
| 2003年 | 松山ひろし『3本足のリカちゃん人形』 | 都市伝説資料として人形系の怪談が整理される |
| 2012年 | 改題・再構成版『怖すぎる話』 | 書籍紹介上でリカちゃん電話と「背後へ来る」怪談が結びつけられている |
この表で最も目立つのは、情報の多さではありません。
1968年と1990年代の間が空いていることです。
もしリカちゃん電話から現在のメリーさんへ直接変化したのであれば、その途中には「リカちゃんが電話をかけてくる」「電話のたびに近づく」といった中間型があった可能性があります。
しかし、その変化を年代順に追える資料は今回見つかっていません。
なぜ「メリーさん」なのか|名前の由来は確認できない
もう一つ残る問題があります。
なぜ「リカちゃん」ではなく、「メリーさん」なのでしょうか。
インターネット上では、この名前について複数の説明が語られています。
しかし今回調査した範囲では、「誰が、いつ、なぜメリーという名前を付けたのか」を示す初期資料は確認できませんでした。
そのため、名前の由来について特定の説を起源として採用することはできません。
後から語られた由来説と、実際の命名経緯を分ける必要があります。初期記録が確認できない以上、名前の由来は未解決のままです。
1995年版と現在型を比べると、何が残っているのか
| 要素 | 現在よく知られる型 | 1995年映画版 |
|---|---|---|
| 捨てられた人形 | 重要な導入として語られる | 確認できない |
| 電話を受ける人物 | 元の持ち主である少女 | 夜の学校にいる大人 |
| 「メリーさん」と名乗る | ある | ある |
| 現在地を告げる | ある | ある |
| 電話のたびに接近 | ある | ある |
| 最後に背後へ到達 | 代表的な結末 | 同じ構造を確認できる |
ここから見えるのは、人形そのものよりも強く残っている仕組みです。
メリーさんは、自分が何者なのかを詳しく説明しません。
代わりに毎回伝えるのは、「今どこにいるのか」です。
怪異の正体より、距離の変化が物語を前へ進めています。

※公開資料と代表的な語りの構造をもとに玄徴録が作成した図解です。
玄徴録の考察|この怪談の核は「人形」ではなく「距離の報告」なのか
確認できた記録を並べると、メリーさんの電話には少なくとも二つの層があるように見えます。
一つは、「人形が電話を通じて人間と話す」という層です。
1968年のリカちゃん電話は、超常現象ではありません。しかし、子どもが電話をかけると人形のキャラクターが声で応答するという体験が、現実に存在していました。
もう一つが、「電話のたびに現在地が更新され、聞き手との距離が縮む」という層です。
1995年の映画版では、捨てられた人形という設定を取り除いても、メリーさんの怪談として成立しています。
これは、この怪談を識別する中心部分が「捨てられた人形」だけではないことを示しています。
電話が鳴る。
相手が場所を言う。
次の電話では、さらに近い。
聞き手は動いていないのに、相手との距離だけが一方的に消えていく。
そして最後には、電話という遠隔通信の意味そのものが失われます。
相手は、もう回線の向こう側にはいません。
1968年のリカちゃん電話は「人形と電話」の実在記録として重要です。一方、1995年映画版からは「現在地を繰り返し告げながら近づく」こと自体が強い怪談構造だったことが分かります。二つの要素がいつ、どのように結合したかは確認できませんが、現在型は複数のモチーフが重なって固定されたものと考えると資料には比較的整合します。
もちろん、別の可能性もあります。
現在型に近い話が1960〜1980年代から口頭で語られており、単に記録が残らなかった可能性です。
口承の怪談では十分にあり得ます。
ただし、その可能性と「実際に確認できた記録」は同じではありません。
現段階で言えるのは、1968年に現実の「人形との電話」が始まり、遅くとも1995年には「メリーさんが電話で接近する」型が映像作品で使われ、1999年には人形のおばけとして出版記録に現れる、というところまでです。
同じ1990年代の学校怪談と比べる
メリーさんだけが、1990年代に形を整えていった怪談ではありません。
玄徴録で記録した「紫鏡」も、1990年代にはすでに広く知られていましたが、期限となる年齢や災いの内容は地域によって変化していました。
また、「テケテケ」も、現在有名な「鉄道事故に遭った女子高生」という像が、早期の記録すべてに共通していたわけではありません。
メリーさんの電話でも同じように、現在の完成形だけを見て、それをそのまま最初の姿だと考えない方が記録には合います。
同じ都市伝説でも、1979年に全国的な社会現象になった「口裂け女」は新聞・週刊誌に大量の記録が残っています。それに対してメリーさんは、初期の口承部分を追える同時代資料が非常に少ない。
この違いも、発祥を難しくしている理由の一つです。
メリーさんの電話について現在確認できること
最後に、確認できることと、まだ確認できないことを分けます。
| 確認できること | まだ確認できないこと |
|---|---|
| リカちゃん電話は1968年に正式開始した | 1968年時点で接近型の怪談がすでに存在したのか |
| 1995年映画に「接近するメリーさん」が登場する | メリーさんの電話そのものの最初の語り手 |
| 1999年出版物でメリーさんは「人形のおばけ」として扱われる | 捨てた人形という現在型がいつ完成したのか |
| 2003年以降の都市伝説資料でリカちゃん電話との関係が語られる | リカちゃん電話から直接派生したことを示す伝播記録 |
| 現在型では「名乗り→現在地→接近→背後」が強く残る | 「メリー」という名前が選ばれた理由 |
「メリーさんの電話は、リカちゃん電話から生まれた」。
この説明は、二つの怪談を結ぶ分かりやすい答えです。
実際、1968年に人形と電話を結びつけるサービスが存在したことは確認できます。
しかし、その間にある約27年間を埋める記録は、まだ見つかっていません。
最初から「捨てられたメリー人形」がいたのか。
それとも、名前も姿も違う電話怪談に、後から人形の物語が重なったのか。
電話の向こうから距離だけを縮めてきた存在が、いつ「メリーさん」になったのか。
その地点だけは、まだ記録の外に残っています。
よくある質問
メリーさんの電話は実話ですか?
今回確認した資料では、捨てられた人形が実際に電話をかけながら元の持ち主へ近づいたことを裏付ける記録はありません。都市伝説・怪談として扱うのが適切です。
リカちゃん電話がメリーさんの元ネタですか?
有力な起源説の一つですが、確定はできません。1968年にリカちゃん電話が始まったことは公式資料で確認できますが、そこからメリーさんへ変化していく過程を示す同時代資料は今回確認できませんでした。
メリーさんの電話はいつからあるのですか?
正確な発祥年は不明です。今回、内容まで確認できた早期の公開例として1995年の映画『学校の怪談』があります。ただし、映画化される以前から口頭で流通していた可能性があり、1995年を発祥年とは断定できません。
「今あなたの後ろにいるの」は昔から同じですか?
少なくとも1995年映画では、電話のたびに現在地を告げながら近づき、最後に聞き手の背後へ到達する構造が確認できます。一方、それ以前のどの時点からこの結末が存在したのかは今回特定できませんでした。
参考・出典
【公式資料】
タカラトミー「リカちゃん テレビでんわ」ニュースリリース(2007年4月17日)
確認内容:リカちゃん電話が1968年に正式開始したこと、旧タカラ本社へかかってきた女児の電話をきっかけに専用回線が設けられたという公式の沿革を確認。
【公的映画資料】
国立映画アーカイブ 所蔵映画フィルム検索システム『学校の怪談』
確認内容:平山秀幸監督、東宝/サンダンス・カンパニー製作、1995年の映画作品であることを確認。
【出演者による記録】
宇野あゆみ公式サイト「『学校の怪談』メリーさんの声優は私!1995年のひんやり映画」
確認内容:1995年映画冒頭でメリーさんの声を担当した本人による回想から、校門、花壇、昇降口へ電話の現在地が近づいていく構成を確認。
【出版社公式資料】
あかね書房『メリーさんの電話』
確認内容:斉藤洋作、かたおかまなみ絵、1999年2月初版であること、出版社がメリーさんを「人形のおばけ」と説明していることを確認。
【公的書誌情報】
国立国会図書館サーチ『メリーさんの電話』
確認内容:1999年2月刊、あかね書房、斉藤洋作であること、および書誌上でも「人形のおばけ“メリーさん”」と紹介されていることを確認。
【公的書誌情報】
国立国会図書館サーチ『3本足のリカちゃん人形 : 真夜中の都市伝説』
確認内容:松山ひろし著、イースト・プレス、2003年12月刊の都市伝説資料が実在することを確認。
【公的書誌情報/後世の整理】
国立国会図書館サーチ『怖すぎる話 : 真夜中の都市伝説』
確認内容:2012年版が2003年刊『3本足のリカちゃん人形』の改題・再構成であること、出版情報上の紹介で「リカちゃん電話」と、居場所を変えながら最後に背後へ来る怪談が結びつけられていることを確認。1960年代の同時代資料そのものとしては使用していない。
【公的書誌情報】
国立国会図書館サーチ 常光徹『学校の怪談』
確認内容:第1巻が講談社から1990年11月に刊行されていること、公開されている書誌・要約に花子さん、人面犬、口裂け女、人面魚などが挙げられていることを確認。本記事では、この公開情報だけを根拠にメリーさんの収録を断定していない。


