企画書を一から作ろうとすると、課題の整理、構成づくり、効果の計算、文章の調整など、考える作業が多く発生します。ChatGPTを使えば、まとまっていない企画メモから不足情報を洗い出し、企画書の骨子や本文の下書きを効率よく作成できます。
ただし、企画の妥当性や数値の根拠まで自動的に保証されるわけではありません。ChatGPTには情報整理と文章作成を任せ、費用、実績、社内ルール、最終判断は担当者が確認する必要があります。初心者でも実践できるように、準備する情報、コピーして使えるプロンプト、具体例、修正方法を順番に解説します。
ChatGPTで企画書作成のどこを効率化できるか
ChatGPTが得意なのは、企画そのものを決定することではなく、担当者が持っている情報を整理して、相手に伝わる形へ組み立てる作業です。
| 作業 | ChatGPTに任せやすい部分 | 人が確認する部分 |
|---|---|---|
| 企画の整理 | 課題、目的、施策を分類する | 課題が実際に存在するか |
| 構成作成 | 企画書の見出しや説明順を作る | 決裁者が判断しやすい順番か |
| 文章作成 | メモを読みやすい文章へ整える | 事実、固有名詞、表現の正確さ |
| 効果整理 | 効果の項目や計算方法を提案する | 数値の根拠と計算結果 |
| リスク確認 | 想定される反対意見を挙げる | 自社固有のリスクと対応可否 |
| 資料化 | WordやPowerPoint向けの構成に変換する | レイアウト、社内書式、最終承認 |
ChatGPTの基本操作にまだ慣れていない場合は、先にChatGPTとは何か、できることや基本的な使い方を解説した初心者向けガイドを確認すると、入力から修正までの流れを理解しやすくなります。
企画書作成は5段階に分けて進める
最初から完成した企画書を一度で作らせるより、作業を次の5段階に分けた方が、内容の抜けや根拠のない説明を減らせます。
- 企画に必要な情報を整理する
- 不足している情報をChatGPTに質問させる
- 企画書の骨子と本文を作成する
- 決裁者や反対意見の視点で修正する
- 数値と事実を確認してWordやPowerPointへ移す

ChatGPTへの指示は、明確で具体的にし、回答を確認しながら追加の条件を与えて改善します。OpenAIのChatGPT向けプロンプト作成の公式ガイドでも、十分な背景情報を伝えることや、反復的に回答を改善する方法が案内されています。
企画書を作る前に用意する8つの情報
ChatGPTへ「企画書を作ってください」とだけ入力すると、一般的な内容や、実際の状況と合わない文章が生成されやすくなります。最低限、次の情報を整理してください。
| 項目 | 確認する内容 | 入力例 |
|---|---|---|
| 提案先 | 誰が企画書を読むか | 管理部長、経営会議、取引先 |
| 現在の課題 | 何に困っているか | 同じ問い合わせへの回答が多い |
| 課題の根拠 | 件数、時間、費用、ミスなど | 月120件、1件平均8分 |
| 企画の目的 | 何を改善したいか | 問い合わせ対応時間を削減する |
| 実施内容 | 何をどのように行うか | 社内FAQを50件作成する |
| 予算と体制 | 費用、担当者、必要な工数 | 追加費用なし、担当者2名 |
| 期間 | 準備、試行、開始時期 | 1か月準備し、翌月から試行 |
| 成果指標 | 成功を判断する基準 | 3か月後に問い合わせ件数を30%削減 |
正確な数値がまだない場合は、無理に埋めず「未計測」「要確認」と記録します。推測した数字を実績のように企画書へ入れないことが大切です。
手順1:不足情報をChatGPTに質問させる
企画の内容がまだまとまっていない場合は、先にChatGPTから質問してもらいます。次のプロンプトへ、現在分かっている内容だけを入力してください。
あなたは、社内企画書の作成を支援する企画担当者です。
次の企画メモを確認し、企画書を作る前に不足している情報を質問してください。
企画メモ:
"""
[現在分かっている企画内容を入力]
"""
確認したい項目:
1.提案先
2.現在の課題
3.課題を示す件数、時間、費用
4.企画の目的
5.具体的な実施内容
6.予算
7.実施期間
8.担当者と役割
9.成果を判断する指標
10.想定されるリスク
条件:
・一度に質問するのは最大7問
・入力内容にない事実や数値を推測しない
・質問ごとに、確認する理由を1文で説明する
・回答できない項目は「未定」でもよいと案内する
・企画書本文はまだ作成しない
質問へ回答した後は、「これまでの回答を、企画書作成用の前提条件として表に整理してください」と追加します。情報の抜けや矛盾を確認してから本文作成へ進むと、修正回数を減らせます。
手順2:企画書の骨子と本文を作成する
必要な情報がそろったら、企画書の構成と本文を同時に作成します。角括弧の部分を自分の企画内容に置き換えて使用してください。
あなたは、経営者や部門責任者向けの企画書を作成する企画担当者です。
次の情報をもとに、社内決裁用の企画書の下書きを作成してください。
企画テーマ:
[企画名]
提案先:
[役職、部署、会議名]
現在の課題:
[解決したい課題]
課題を示す事実や数値:
・[件数]
・[作業時間]
・[費用]
・[ミスや問題の内容]
企画の目的:
[企画によって実現したい状態]
実施内容:
[具体的に行うこと]
対象者・対象部署:
[対象]
予算:
[初期費用、月額費用、社内工数]
実施期間:
[開始日、準備期間、試行期間]
実施体制:
[担当部署、担当者、協力者]
成果指標:
[問い合わせ件数、作業時間、売上、ミス件数など]
想定されるリスク:
[現在分かっているリスク]
出力項目:
1.企画名
2.150文字以内の企画要約
3.背景と現在の課題
4.企画の目的
5.対象者と対象範囲
6.具体的な実施内容
7.実施スケジュール
8.実施体制
9.必要な費用と計算条件
10.期待できる効果と成果指標
11.想定されるリスクと対策
12.決裁者に承認してほしい事項
13.追加確認が必要な情報
条件:
・最初に結論が伝わる構成にする
・丁寧で簡潔な社内文書にする
・入力されていない事実や数値を作らない
・根拠がない内容は「要確認」と記載する
・効果を誇張しない
・費用と効果は前提条件を分けて示す
・後からWordやPowerPointへ移しやすい構成にする
企画書以外の業務でも利用できる指示文を確認したい場合は、仕事や資料作成で使えるChatGPTおすすめプロンプト20選も参考になります。

手順3:架空のサンプルから企画書を組み立てる
ここでは「社内FAQを整備し、管理部への問い合わせを減らす企画」を架空の例として使用します。次の数値は実在する企業の実績ではありません。
サンプルとしてChatGPTへ渡す情報
| 項目 | サンプル内容 |
|---|---|
| 企画名 | 社内FAQ整備による問い合わせ対応時間の削減 |
| 現在の状況 | 管理部への問い合わせが月120件ある |
| 対応時間 | 1件当たり平均8分 |
| 重複する問い合わせ | 全体の約60% |
| 実施内容 | 問い合わせが多い3分野についてFAQを50件作成する |
| 準備工数 | 担当者2名、合計20時間を想定する |
| 追加費用 | 既存の社内ツールを使用するため、追加費用は想定しない |
| 試行期間 | 準備1か月、試行2か月 |
| 成果指標 | 試行終了後に問い合わせ件数を30%削減する |
効果は前提条件を分けて計算する
月120件の問い合わせに1件8分かかる場合、現在の対応時間は月960分、つまり16時間です。問い合わせ件数を30%削減できた場合は、月36件、約4.8時間の削減になります。
| 計算項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 現在の対応時間 | 120件×8分 | 月960分、16時間 |
| 削減する問い合わせ | 120件×30% | 月36件 |
| 削減できる時間 | 36件×8分 | 月288分、4.8時間 |
| 準備工数の回収目安 | 20時間÷4.8時間 | 約4.2か月 |
この計算は、すべての問い合わせに同じ対応時間がかかり、削減後も条件が変わらないと仮定した例です。実際の企画書では、問い合わせ記録や担当者への聞き取りから実数を確認してください。
短い企画書の完成例
企画の要約
管理部へ寄せられる定型的な問い合わせを減らすため、質問数が多い3分野について社内FAQを50件整備します。1か月の準備後に2か月間試行し、問い合わせ件数と対応時間の変化を測定します。
背景と課題
現在、管理部には月120件の問い合わせがあり、1件当たりの対応時間は平均8分です。同じ内容の問い合わせが繰り返されるため、担当者の作業が中断され、ほかの業務へ使える時間が減っています。
実施内容
- 過去の問い合わせを分野別に分類する
- 問い合わせ件数が多い50項目をFAQ化する
- 回答内容を各業務の担当者が確認する
- 社内ポータルの分かりやすい場所へ掲載する
- 試行期間中の閲覧数と問い合わせ件数を記録する
期待する効果
問い合わせ件数を30%削減できた場合、月約4.8時間の対応時間を削減できる想定です。試行後は実際の問い合わせ件数、FAQ閲覧数、回答できなかった質問を確認し、継続や対象範囲の拡大を判断します。
承認してほしい事項
- 担当者2名が合計20時間の準備作業を行うこと
- 過去の問い合わせ記録を企画目的で確認すること
- 2か月間の試行運用を実施すること
手順4:決裁者の視点で企画書を改善する
企画書の下書きが完成しても、そのまま提出するのではなく、決裁者が気にする費用、効果、リスク、実現性を追加で確認します。
反対意見と回答案を洗い出す
作成した企画書を、承認に慎重な部門責任者の視点で確認してください。
次の項目を表に整理してください。
・想定される質問や反対意見
・質問が出る理由
・現在の企画書で回答できる内容
・追加で必要な情報
・回答案
条件:
・無理に企画を肯定しない
・費用、効果、運用負担、情報管理、継続性を確認する
・入力されていない事実を回答案へ追加しない
根拠のない数値や断定表現を探す
次の企画書をファクトチェックしてください。
確認項目:
1.根拠が示されていない数値
2.計算条件が不明な効果
3.出典が必要な情報
4.実績と予測が混在している箇所
5.断定しすぎている表現
6.担当者や期限が不明な箇所
企画書:
"""
[企画書本文を貼り付ける]
"""
問題がある箇所、問題の理由、修正案を表にしてください。
確認できない内容を、正しいと判断しないでください。
1ページで説明できる要約版を作る
次の企画書を、部門責任者が3分以内で確認できる1ページ版に要約してください。
出力項目:
・企画の結論
・現在の課題
・実施内容
・必要な費用と工数
・期待する効果
・主要なリスク
・承認してほしい事項
条件:
・重要な数値を省略しない
・新しい情報を追加しない
・説明が重複する箇所はまとめる
・箇条書きを中心にする
企画の候補自体がまだ決まっていない場合は、先にChatGPTで業務改善アイデアを出し、費用や実現性で比較する方法を使って候補を絞り込むと進めやすくなります。

手順5:WordやPowerPointへ移して仕上げる
ChatGPTで作成した文章は、そのまま提出するのではなく、会社指定のWordやPowerPointの書式へ移して整えます。文章量、見出し、表の形式を先に指定しておくと、転記しやすくなります。
| 作成する形式 | 追加する指示 |
|---|---|
| Word企画書 | 見出し、本文、表に分け、A4で3ページ程度に収まる文章量にする |
| PowerPoint | 1ページ1メッセージとし、各ページのタイトル、要点、図表案を出す |
| 1ページ提案書 | 結論、課題、施策、費用、効果、承認事項だけに絞る |
| 説明用原稿 | 5分で説明できる発表原稿と、想定質問を作る |
| メール添付用 | 企画書を送るメールの件名と本文を作る |
利用できる環境では、過去の企画書や社内テンプレートをアップロードし、構成の確認や文章の整理を依頼する方法もあります。対応形式や利用上限は変わる可能性があるため、利用前にOpenAI公式のファイルアップロードFAQを確認してください。
ファイルを渡す場合は、「過去の数値や日付を新しい企画へ引き継がない」「書式だけを参考にする」「記載のない内容は推測しない」と明記します。
ChatGPTで企画書を作るときの失敗例
| 失敗例 | 起こる問題 | 改善方法 |
|---|---|---|
| 「企画書を作って」とだけ入力する | 一般論が多く、実務に合わない | 提案先、課題、数値、目的、制約を入力する |
| 最初から完成版を求める | 不足情報をAIが推測する | 質問、骨子、本文、点検の順に分ける |
| 数値を確認せず使用する | 効果や費用の計算を誤る | 元データと計算式を別に確認する |
| メリットだけを書かせる | 決裁時に反対意見へ答えられない | リスク、運用負担、代替案も出力させる |
| AIの文章をそのまま提出する | 社内事情と合わない表現が残る | 担当者、期限、固有名詞、規程を人が確認する |
| 過去資料をそのまま貼り付ける | 個人情報や機密情報が含まれる | 匿名化し、社内のAI利用規程を確認する |
読みやすい文章が生成されても、企画が実行可能である証明にはなりません。予算、担当者、権限、期限を実際の社内条件と照合してください。
社内利用で確認したい安全ルール
企画書には、未公開の計画、売上、原価、顧客情報、契約条件などが含まれることがあります。ChatGPTへ入力する前に、会社のAI利用規程と情報管理ルールを確認してください。
- 氏名、メールアドレス、電話番号、社員番号を削除する
- 取引先名や顧客名を「取引先A」などへ置き換える
- 未公開の売上、原価、予算は必要に応じてサンプル値へ変更する
- 契約書や人事情報を許可なくアップロードしない
- 社外秘の資料は、利用可能な環境と社内ルールを確認してから扱う
- 生成された数値、出典、引用、固有名詞を元資料と照合する
- 提出前に担当者と承認者が最終確認する
企画の実施後に手順書や運用ルールを整える場合は、ChatGPTで業務マニュアルを作成し、作業手順を標準化する方法も活用できます。

よくある質問
ChatGPTの無料版でも企画書を作れますか
文章の下書きや構成案の作成は、無料で利用できる環境でも試せます。ただし、利用回数、使用できる機能、ファイルアップロードなどの条件は、プランやアカウントによって異なります。最初は機密情報を含まない小規模な企画で試してください。
企画のアイデアが決まっていなくても使えますか
使用できます。「課題、予算、期間、人員をもとに企画案を5個提案し、費用、効果、難易度、リスクで比較してください」と依頼すると、候補を整理できます。最終的な採用判断は、現場の状況を把握している担当者が行います。
ChatGPTが作った企画書をそのまま提出してもよいですか
そのまま提出する方法は避けてください。日付、金額、担当者、社内制度、出典、計算結果、実施可能性を確認し、会社の書式と承認ルールに合わせて修正する必要があります。
企画書が長くなりすぎた場合はどうすればよいですか
最初に1ページの要約版を作り、その後に詳細版を付ける方法があります。「結論、課題、施策、費用、効果、リスク、承認事項だけを1ページ相当に整理してください」と追加で指示します。
説得力のある企画書にするコツはありますか
課題、施策、効果のつながりを明確にすることです。現在の件数や作業時間を示し、施策によって何がどの程度変わる想定なのか、計算条件と一緒に説明します。メリットだけでなく、費用、リスク、実施体制も記載してください。
過去の企画書を参考資料として使えますか
利用できる環境では、過去資料の構成や文章を参考にできます。ただし、個人情報や機密情報を確認し、古い日付、金額、担当者、制度を新しい企画へ引き継がないように指示してください。
関連記事
- ChatGPTとは?初心者向けにできることや使い方をわかりやすく解説
- ChatGPTおすすめプロンプト20選|仕事・勉強・ブログで使える便利な指示文まとめ
- ChatGPTで業務効率化する方法|仕事の生産性を大幅に向上させる実践テクニック
- ChatGPTで業務改善アイデアを出す方法|すぐ実践できる活用術とプロンプト例を解説
- ChatGPTで業務マニュアル作成|作業手順を効率的に標準化する方法を徹底解説
まとめ
- ChatGPTは、企画書の情報整理、構成作成、文章の下書き、反対意見の確認に活用できる
- 提案先、課題、根拠となる数値、目的、施策、予算、期間、成果指標を先に整理する
- 不足情報の質問、骨子作成、本文作成、決裁者目線の点検に作業を分ける
- 生成された金額、効果、出典、固有名詞は元資料と照合する
- 個人情報や社外秘を入力せず、社内のAI利用規程と承認手続きを優先する
まずは、機密情報を含まない小規模な業務改善案を一つ選び、現在の課題と数値を整理してみてください。ChatGPTが作成した下書きを担当者自身が確認し、実際の条件へ合わせて修正することで、企画書作成の負担を減らしながら、決裁者に伝わる資料へ近づけられます。


